Hibワクチンとb型インフルエンザ菌(Hib)感染症

 インフルエンザ菌特にb型(Hib)はヒトからヒトへ飛沫感染し、鼻咽喉に保菌され、乳幼児の化膿性髄膜炎、敗血症、肺炎、喉頭蓋炎などの重篤な全身感染症の病原菌となります。また中耳炎、副鼻腔炎、気管支炎など気道感染症も起こします。これは皆さんの知っているインフルエンザウイルスとは全く別のものです。なかでも髄膜(脳や脊髄を覆う膜)に感染するHib髄膜炎は最も頻度が高く、予後が悪い病気です。わが国では、インフルエンザ菌b型(Hib)による髄膜炎は、年間約600人が発症し、約30%が亡くなったり後遺症を残すとされています。

Hib髄膜炎はいつかかるの?

 多くの場合は生後3ヶ月から5歳になるまでの子どもたちがかかります。特に2歳未満のお子さんに最も多いので、要注意です。

Hib髄膜炎にかかるとどうなるの?

 発熱、頭痛、嘔吐、不機嫌、けいれんなどの症状がみられ、そのうち5%は死亡、約25%に後遺症(聴覚障害、発達遅延、神経学的障害)がみられます。

Hib髄膜炎の治療法は?

 Hib髄膜炎は、初期症状がかぜ症状と区別がつきにくく、簡単な検査では診断がつきません。また早期診断がついても、現在では耐性菌が増えているため治療が難しくなっています。このためワクチンの研究が開始され、1987年に米国で使用開始されたのがHibワクチンです。世界保健機関(WHO)では、1998年にHibワクチンを乳幼児への定期接種ワクチンに推奨し、現在までに120ヵ国以上で導入されており、それらの国ではHib髄膜炎は、すでに過去の病気となっています。わが国では現在は任意接種ですが、早期の定期接種化が望まれます。

Hibワクチンの安全性は?

 主な副反応は、接種部位の赤みや腫れで、そのほか発熱が数%報告されています。これらは通常一時的なもので、数日以内に消失します。またHibワクチンは製造工程にウシ由来の成分が使用されていますが、現在までTSE(伝達性海綿状脳症)にかかったという報告はありません。

Hibワクチンの接種はどうすればいいの?

 かかりつけの小児科で接種を受けることができます。望ましい接種スケジュールは、生後2〜7ヶ月で開始し、4〜8週間明けて3回、その1年後に追加接種の計4回です。この時期は、百日せきジフテリア破傷風混合(DPT)ワクチンの接種時期でもあるので、同時接種が可能です。またすでに望ましい接種開始年齢を過ぎていても、5歳までは接種することができます。詳しいことは、かかりつけの医師にご相談ください。