平成12年3月15日号掲載分
◎増加している大腸ガン 定期的に内視鏡検査を (前田裕之)
食生活が欧米化したせいか、日本でも大腸がんが増加しています。最近では、大腸疾患への関心が高まり、大腸検査を積極的に受ける人が増えています。
ここ数年の大腸検査、とくに内視鏡検査の進歩には著しいものがあります。まず、下剤が腸管洗浄液になり、めんどうな食事制限が減りました。内視鏡を挿入するテクニックも改良され、痛みを感じることはほとんどなくなりました。
また、高画質の拡大内視鏡で、病変の表面模様のより詳しい分析ができるようになり、かなりの程度まで診断が可能になりました。腫瘍(しゅよう)と非腫瘍の区別が付けやすくなったことで、不必要な切除も減らせるようになりました。
ポリープと大腸がんの因果関係については、まだ、結論は出ていませんが、すべてのポリープが、がんになるとは考えられていません。現在では、一センチ以上ならばすべて完全切除を、五ミリ前後でも明らかに腺腫(せんしゅ)と診断できるポリープは切除した方がよいといわれています。
胃の検査と同じく、大腸も内視鏡検査を定期的に行い、腫瘍性のポリープが発見されれば、内視鏡的治療を行うことが、大腸がんの予防にも役立つと考えられます。