平成12年5月15日号掲載分
◎自覚症状がない肝がん 定期的な検査で早期発見 (松下宏明)
肝がんで死亡する人が、年間三万人を超えています。がんによる死亡原因では、男性の三位、女性の四位を占め、今後も増える傾向にあります。
肝がんの原因の九〇%以上が、肝炎ウイルスによる感染症です。C型肝炎ウイルスに感染している割合が感染症の八〇%と、大部分を占めています。
C型肝炎の場合、ウイルスに感染後、二十五〜三十年経過し、慢性肝炎や肝硬変まで進行すると、肝がんが発症する危険性が非常に高くなっています。
肝がんは進行するまで、症状がありません。肝がん発症の危険性が高い患者は、腹部超音波検査、CT検査などの画像診断や腫瘍(しゅよう)マーカーの採血検査を定期的に受ける必要があります。
肝がんの治療には、外科的な治療以外に、エタノール注入療法など比較的、身体に負担が少ない方法もあります。継続して検査を受け、早期に発見できれば根治も可能です。また、インターフェロン療法で、C型肝炎の進行を抑え、発がん性を低下させることもできます。
保健センターでは、肝炎ウイルスなどの採血検査や、二次検査として腹部超音波検査を行っています。肝がんの早期発見のために、一度検査を受けましょう。