平成17年1月15日掲載分

◎加齢に伴う加齢黄斑変性症 高齢者の失明原因の上位に (谷村 幸三)

 加齢黄斑変性症は、カメラのフィルムに相当する網膜の中心部分(黄斑)に異常が起きて、視野の真ん中が暗く見える、よく見えない、線がゆがむといった症状が現れます。

 この病気は、加齢に伴い起きる病気で、高齢者、特に六十歳以上に多くみられ、諸外国では、五十歳以上の人の失明原因の第一位となっている疾患で、日本でも増える傾向にあります。しかし、原因がよく分からず、「レーザー光凝固術」「新生血管抜去」「黄斑移動術」「経瞳孔温熱法」などの治療法がありますが、十分な効果が得られていません。そんな中、欧米で普及している「光線力学的療法」が国内でも保険診療できるようになりました。この療法は、光感受性物質(ベルテポルフィン)を静脈内に点滴注射し、脈絡膜新生血管に薬剤を集積させ、特定の波長を持つレーザーを照射します。レーザーが当たると化学反応を起こし、活性酸素が発生、血管内から破壊します。発熱しにくいレーザーを使用するので、網膜への影響はほとんどありませんが、網膜色素上皮に変化を起こすという報告もあります。ベルテポルフィンには、光線過敏症などの心配があるため、初回治療には、三日間の入院が義務付けられています。実施するときは視力、眼底所見、蛍光眼底造影所見などから、萎縮型、滲出型などを判定し、治療法の適応を決定します。時期を逃さないように早めに診療を受けることが大切です。


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