平成17年5月15日号掲載分
◎必ずしも下げる必要ない発熱 解熱剤は体力保持の目的で (
田上久樹)
みなさんにとって最も身近な薬は、解熱剤だと思います。開業医が診療する子どもの病気の大半は感染症で、その多くは発熱を伴います。
子どもにとって解熱剤は、おとな以上に身近で大切な薬です。
発熱は感染微生物の増殖の勢いを弱め、体の防御能力を活発化させます。よって、必ずしも解熱剤で熱を下げる必要はないのです。
しかし、発熱で食欲が落ちたり、眠れない時は、解熱剤を使用することにより、食欲や睡眠状態を改善し、感染症にかかった子どもの体力保持が可能になります。
解熱剤は抗生物質のように一日に決まった回数、決まった時間に使用するのではなく、必要な時のみ使用するのが大原則です。
市販されている総合感冒薬の中には、解熱剤を含むものもあります。総合感冒薬を定期的に内服していても熱が下がらず、さらに解熱剤を使用するかどうか迷った時は、薬剤師か、かかりつけの医師に相談してください。
子どもにとって、最も副作用のない安全な解熱剤は、医師の適切なアドバイスと保護者の優しい言葉なのかもしれません