平成17年9月15日号掲載分
◎ 健康な胃を維持するために 定期的に胃の内視鏡検査を
(酒井 秀朗)
胃の内視鏡検査の歴史について少し話します。
昔は、硬性胃鏡で胃の中を観察していました。硬性胃鏡とは、真っすぐな金属の管の先端に電球と鏡を装着したもので、検査を受ける患者も検査をする先生も大変だったと思われます。その後、胃カメラや胃ファイバースコープが開発され、さらに現在では電子内視鏡が内視鏡検査の主流になっています。
電子内視鏡は、直径九・八ミリの先端にテレビカメラのCCD(画像を電気信号に変える半導体素子)とグラスファイバーで光を送って胃の中を観察する構造で、先端のCCDから送られた画像をテレビ画面に映し出します。電子内視鏡の登場で、内視鏡の画像を電子的に取り込んだり電子保存が可能となったため、内視鏡のフィルムが必要なくなりました。非常に鮮やかに観察でき、さらに先端部はあらゆる方向に曲がり柔軟性に富んでいて操作性が大変向上しています。
また、胃がんをより多く発見できるようになり、小さいものから広い範囲に及ぶ胃がんの切除が可能になっています。当然、ポリープも切除でき、内視鏡的治療が盛んに行われています。内視鏡の検査時間は、特に大きな病変がなければ五〜十分ぐらいで終わります。胃潰瘍(かいよう)やポリープ、がんなどの病変があれば、さらに三〜五分ほど検査時間が掛かります。毎年一回、胃の検査を受けることを勧めます。