平成18年1月15日号掲載分
◎ 寒い冬に多い循環器疾患 血圧が高めの人は要注意 (
杉田 隆彰)
寒さが厳しい冬は、循環器疾患が増加します。循環器疾患というと難しく聞こえますが、簡単にいうと心臓や血管の病気で、高血圧もその仲間です。
循環器疾患の中でも、狭心症や心筋梗塞(こうそく)、胸部や腹部の大動脈瘤(りゅう)、急性大動脈解離(血管が裂ける病気)、下肢閉塞性動脈硬化症の急性増悪、ビュルガー病(タバコが原因で足に血が流れなくなる病気)などが冬に増加します。
では、なぜ、冬にこのような循環器疾患が起こりやすくなるのでしょうか。
それは、気温が下がると血圧が高くなってしまうからです。その上、高血圧は自覚症状がないため、放置している人も多く、治療されていても最高血圧が140〜150と管理が不十分な人が多いのも大きな問題です。
例えば、冬の日の朝、安静時の血圧が160程度の人が、寒いトイレで息むと200を超えてしまいます。そして、この時に大動脈が裂けたり、動脈瘤が破裂したりと命にかかわる大きな問題が起きてしまうのです。
最近の研究では、血圧を下げることの有効性が証明され、高血圧のガイドラインでは、高齢者が最高140最低90未満、若年・中年者で最高130最低85未満を血圧の目標値に設定しています。
血圧の高い人は、なるべく早く最寄りの病院で相談してください。