平成18年5月15日号掲載分
◎ 心と体は常に変動するもの 心の不安が体の不調に連動 (石島
正嗣)
「体のあちこちが痛い感じがする」「何となくふらつくような感じがする」「動悸(き)がする感じがする」などの訴えがあり、いろいろと検査をしても異常がないと言われることがあります。このような場合には、何らかのストレスが背景にあって、それが体に症状として現れている場合があります。このような状態を身体表現性障害といいます。原因となるストレスを解決・解消することが必要です。とりあえずは抗不安剤などの服用も有効です。
また、症状や障害が重度ではないのに体の不調が気になって落ち着かず、不安で何度も医者を替えたり、検査を繰り返したりする場合があります。検査の結果では心配ないにもかかわらず、不安と心配を訴え続けることもみられます。このような不安状態を心気的状態といい、中高年者に多くみられます。人間の体の状態は、いつでも完璧な状態にあるのではなく、常になんらかの変動を示すものです。天気と一緒で、曇りの日も雨の日もあるのが普通です。しかし、不安になりやすい人は、体がいつも完璧な状態でなければならないように思い込んでしまいます。
心も体も、周囲の状況や環境によって刻々とそのあり方を変えています。このように変動してゆくなかで、ときには身体不調感や不安に拘泥してしまうことがあるのです。このような時には抗不安剤・抗うつ剤と精神療法が必要となります。